ケーススタディハウスは、カリフォルニアで1950年代前後に起こった住宅不足を解消するための雑誌の企画で数人のデザイナーが参加したものです。
一軒一軒大工さんが手作りすると時間も労力もかかってしまうため、お家を規格化し、工場で生産→現地にて組み立て、という鉄骨造のプレハブ住宅を提案した住宅がほとんどになります。#8はイームズ夫妻がデザインしたローコスト住宅で、他にも25の実在する建物があります。
ケーススタディ=実例 その名の通りモデルハウスとして誕生したこの家には、晩年のイームズ夫妻も住んだそう。建物ばかりが紹介されている文献を目にしますが、イームズハウスが建っているロケーションは建てものに勝る素敵な場所でした。
土地探し真っ只中の私たちに、ミッドセンチュリーの家はそれぞれロケーションの重要性を示してくれたような気がします。家の趣味やデザインだけにこだわり過ぎて、ロケーションとの兼ね合いが悪くてはどちらの良さも半減する。そんな簡単な答えを改めて認識した気がします。
立地は傾斜地。海岸沿いの高台の中腹あたりに位置します。庭の先端からはこんな南カリフォルニアのサンタモニカビーチが見え、美しいサンセットを眺めることができます。
振り返るとこんな感じ。山肌に芝生にユーカリの木にツリーブランコ。
戻って、敷地入り口からの景色はこんな感じ。ちらっと二階建ての建物が見えています。
建物は二棟あり、中庭を挟んで、住居(奥)とアトリエになっています。
建物の背面は山肌を垂直に削って、そこに沿って建てられているので、庭側からみると二階建てですが、背面側(少し上ります)からは平屋のようにも見えます。
造り自体はプレハブですので、骨組みにパネルやガラスを挟み内装を施すという、シンプルな構造。断熱などはほとんどないようですが、床の隅にはプレートがあり、セントラルヒーティングがおそらく床下に設置されているのではないかと思います。
高台のゆるやかな傾斜を利用した広い庭には、一面芝生が敷いてあり、誰の視線も気にすることのない広大な庭が広がっています。このグリーンと建物のコントラストもとても美しいものでした。
もちろん建物からも夕日に照らされた太平洋を庭木越しに眺められるようにもなっています。
建物の中は立ち入りも撮影も禁止で、これからも近代建築の宝として保存されるようです。
もともとアメリカはヨーロッパからの移民が作り上げた国。当然ヨーロッパライクな家やインテリアが大半を占める中、イームズハウスのようなアメリカらしい直線的で力強いデザインは、ミッドセンチュリー期に確立されました。
日本で認識されているミッドセンチュリーのお家というと、こういった鉄骨造のプレハブ住宅も上位に上げられるかと思います。鉄骨枠が揃っていて、幾何学的で、線が細くて、大開口。四角の連続を縦に何枚、横に何枚、天井に何枚とつなげて空間を作る。
ミッドセンチュリーモダンの基本パターンのデザインですね。
ケーススタディーハウスの見学は、このあと2軒見に行きましたので追々ご紹介させていただきます。
次回は、、土地探しの続き。山や森のようなロケーションで期待できそうなエリアで再々スタート後、すぐ吉報が!
MID CENTURY HOUSE [ミッドセンチュリーハウス]
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